マーケティングリサーチは、企業の利益となる商品開発を行う上で非常に重要です。
とはいえ、新たな商品開発にむけてマーケティングリサーチを行いたいものの、具体的には何をすればよいかわからず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、商品開発におけるマーケティングリサーチから、コンセプト設計や商品開発、販売戦略の選定まで解説しています。全体の流れをつかみながら、よりよい商品開発を行うために活用してください。
商品開発とは
商品開発の概要
商品開発には、「新商品の開発」と「既存商品の改良」の2種類があります。
新商品の開発では、新しいアイデアや研究成果を活かし、市場に新たな価値提供をすることが求められます。
一方で既存商品の改良は、変化するニーズにあわせて新たな技術を組み込むなど、より良い商品提供をするための開発です。
また、商品開発の目的は
- 消費者のニーズに応える
- 会社の利益を上げる
- 社内の技術や研究の成果を実践する
ことが挙げられます。
商品開発におけるマーケティングリサーチ
マーケティングリサーチの目的
マーケティングリサーチとは、顧客のニーズや市場をリサーチ・分析することで示唆を得るための方法です。
顧客ニーズや市場の実態を把握することで、ユーザーニーズに合致した商品開発が可能となります。結果として企業の利益拡大につながることから、商品開発ではマーケティングリサーチが重要だとされています。
マーケティングリサーチの方法
マーケティングリサーチの実施方法には、
- アンケート調査
- インタビュー調査
- ホームユーステスト
- Web調査
- ソーシャルリスニング
などがあります。
また、分析方法としては
- STP分析
- SWOT分析
- PEST分析
- 5F分析
などが多く活用されています。
分析方法については、最後の章にて詳しく解説しているので、そちらもご覧ください。
商品開発の流れ
マーケティングリサーチの視点を活かした商品開発の流れを見ていきましょう。
1.市場実態調査
最初に、市場や消費者の実態調査を行います。
市場実態調査では、競合他社商品のリサーチ・分析や消費者調査を通して、商品の目的やターゲットを明確にすることが重要です。
消費者調査では、ターゲットとなる顧客から、製品やサービスに対する顧客の評価に関するデータを収集して分析します。
- 消費者ニーズ調査
- 消費者トレンド調査
- 消費者市場調査
- 市場の予測調査
- 消費者ライフスタイル調査
- 消費者プロフィール調査 など
といった調査を実施し、情報を集めます。
2.ニーズ調査・社内ブレスト
続いて、ニーズ調査や社内ブレストを実施します。
ニーズ調査では、意向調査を実施し、開発予定の商品がターゲット(年代・性別・属性などを考慮)に受け入れられるかを確認します。
また、潜在ニーズ・顕在ニーズを見つけ、商品開発に活かしていくことも重要です。
社内ブレストでは、商品開発に関係する部署(営業・製造・広告・研究など)の担当者が集まり、ワークショップを開きます。ブレインストーミングを通じてアイデアを出していきます。
ブレインストーミングで話し合うのは以下のポイントです。
- 商品コンセプト
- ターゲット
- 商品を使うタイミング
- 商品を使う目的
- 商品の使い方
意見を交わしながら、商品開発に対する各部署の狙いや「できること」「できないこと」を共有していきます。
複数の部門や職種の人を集め、多角的な視点で考えることで、新たなアイデアが形になることが期待できるでしょう。
3.商品コンセプト策定
続いて、市場実態調査やニーズ調査を通して得たデータをもとに、商品コンセプトを設計していきます。
まずは社内ブレストで出たアイデアのコンセプトテストを実施し、スクリーニングを行います。
その後、コンセプトに合わせてプロトタイプを作成し、ターゲットに実際に利用してもらいます。そして、フィードバックを受けながら改良を行いましょう。
また、コンセプト調査を行い、複数のコンセプトを比較・評価し、どの商品を採用するかを決定しましょう。
コンセプト調査では、消費者に受け入れられるかが重要な視点となります。
そのため、消費者の生の声が聞ける、ネットリサーチや会場調査、グループインタビューといった手法が効果的です。
関連記事:
コンセプト調査のポイントは?結果分析はどのように行う? | リサーチコラム | GMOリサーチ&AI
4.商品設計
商品コンセプトが決定したら、いよいよ商品設計です。
商品設計では、ブランドネーム、パッケージデザイン、製造方法・使用原料、価格などを検討し、決定していきます。
この際、ホームユーステストや会場調査にて実際にユーザーに使用してもらい、ブランドネームやパッケージデザインへの印象、商品優位性を把握しましょう。
また、競合商品と比較したり、コンセプト設計がユーザーに正しく伝わっているかも併せて調査します。必要があればパッケージ、ロゴや価格などについても追加調査を行い、商品が消費者の求めているものと合致しているか確認するとよいでしょう。
5.販売戦略
続いて、販売戦略として、商品を狙っているターゲットに手に取ってもらうための広告戦略、販売チャネルを選定していきます。
販売戦略は、狙っているユーザーに商品を認知・購入してもらうために欠かせない、重要なステップです。
新商品の場合、まずはブランドの認知拡大や、特徴の理解を狙います。また、既存商品のリニューアルであれば、改善点の訴求やブランドイメージの再構築を目標とするとよいでしょう。
検討点の一例を示します。
販売先 | スーパー、自社EC販売、百貨店、コンビニ、専門店 など |
販売促進の媒体 | Web広告、チラシ、マスメディア、自社メディア、店舗実演 など |
6.販売後調査
最後に、発売後の製品の評価を得るために、販売後調査を実施しましょう。
商品を市場に投入した後、新商品がどのように消費者に受け入れられているのか、ブランド認知の進み具合、知名度の上昇具合などを追ってリサーチ・モニタリングします。
市場投下した時点で終わりではなく、定期的に調査を実施していくことが、さらなる売り上げや新しい商品のアイデアを得るために重要となります。
商品開発の事例
【事例1】既存商品の改良:A社の冷凍餃子
A社の冷凍餃子は、顧客満足度が高かったものの顧客の潜在ニーズを発見し、リニューアルしたことで購入率と新規顧客率が前年同期比で大幅にアップした成功事例です。
▼商品開発の流れ
1.マーケティングリサーチ |
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2.商品コンセプト策定 | 油と水を使わずに焼ける「ギョーザ」 |
3.商品設計 |
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4.販売戦略 |
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A社は冷凍餃子の商品改良に際し、消費者調査を実施しました。調査の結果、顧客が普段から分量通りに水を入れていない点に気づき、商品の売りである「パリッとした餃子」が提供できていないことが分かりました。
「できるだけ手間を省き、手軽に作りたい」という顧客の潜在ニーズから、水の量を測らずに簡単に調理できる冷凍餃子に改良しました。結果として、前年度比130%の売上アップに成功しています。潜在ニーズを満たす商品を開発することで、主力商品の改良につなげた事例です。
【事例2】新商品開発:B社の缶コーヒー
B社の缶コーヒーは、「どのようなときに飲むのか?」「何のために飲むのか?」を掘り下げて、新たな価値を発見し、新商品開発でマーケットシェアの拡大に成功した事例です。
▼商品開発の流れ
1.マーケティングリサーチ |
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2.商品コンセプト策定 | 朝専用の缶コーヒー |
3.商品設計 |
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4.販売戦略の選定 |
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B社は缶コーヒー市場で5位に位置していましたが、朝専用の缶コーヒーを開発したことで、3位にポジションアップしました。
競合商品は味わいなどを強みとして勝負していましたが、マーケティングリサーチの結果、「約4割の顧客が午前中に缶コーヒーを飲用」していることが判明したため、「朝」という時間軸に着目し、商品開発を行いました。
顧客の消費行動から新しい視点を見出した商品開発の事例です。
商品開発で活用する分析手法4つ
マーケティングリサーチのほかに、活用する分析手法を4つ紹介します。
STP分析
STP分析は、セグメンテーション(S:Segmentation)、ターゲティング(T:Targeting)、ポジショニング(P:Positioning)の要素から市場を細分化し、ターゲットや立ち位置を理解するために活用する分析手法です。
関連記事:
STP分析におけるセグメンテーションとは?意味や分析方法・成功事例を解説 | リサーチコラム | GMOリサーチ&AI
SWOT分析
SWOT分析は、強み(S:Strength)、弱み(W:Weakness)、機会(O:Opportunity)、脅威(T:Treat)の要素から構成されており、内部環境、外部環境、プラス要因、マイナス要因に分けて分析を実施する分析手法です。
戦略の方向性を検討する時は、クロスSWOT分析を実施します。
「機会」に「強み」を当てることで、積極的に取り組む戦略を把握できるのが特徴です。
関連記事:
SWOT分析とは?内部環境・外部環境の4要素や分析方法を解説 | リサーチコラム | GMOリサーチ&AI
PEST分析
PEST分析は、政治(P:Politic)、経済(E:Economy)、社会(S:Society)、技術(T:Technology)の視点から外部環境を分析する方法です。
現在や未来にどのような影響を与えるか予測したいときに役立ちます。法改正、景気動向、流行、新技術などの外部環境を長期的な視点で分析できるのが特徴です。
5F分析
5F分析は、自社の外部環境を「既存競合他社」「新規参入企業」「売り手」「買い手」「代替品」の5つの要素から分析する方法です。
自社を取り巻く脅威から自社や競合の収益構造・収益性を把握することが可能です。新規参入や商品の撤退の検討に活用できます。
まとめ
今回は、商品開発におけるマーケティングリサーチの流れや事例、分析手法について解説しました。
自社の利益を上げるためには、マーケティングリサーチを通して、市場実態の評価や顧客ニーズの把握をし、ニーズに合った商品を開発することが重要となります。
本記事が、マーケティングリサーチの視点を取り入れた、よりよい商品開発につなげる助けとなれば幸いです。
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