「アンケート調査で自社ブランドユーザーを400名確保して回収したいが、そのためにはいったいどのくらいアンケートを配布すればよいのだろう」といった悩みをお持ちのリサーチ担当者の方は多いのではないでしょうか。
ネットリサーチにおいて、事前に適切な回収数の目安を知っておくことは、追加費用発生の防止や調査期間の把握につながります。この回収数の決定に関わってくるのが、出現率です。
出現率とは、リサーチにおいて母集団から一部を標本として抽出するサンプリングを行ったときに、対象条件に該当する人がどれだけサンプルに含まれるかの割合を指します。
本記事では、出現率の求め方やリサーチ前に把握すべき理由、出現率調査を行う際の注意点などを解説します。はじめてアンケートを実施する方、出現率を理解して自社のアンケートに活用したいマーケティング担当者の方は、ぜひご覧ください。
出現率とは、対象条件に該当する人がサンプルに含まれる割合のこと
出現率とは、リサーチにおいて母集団から一部を標本として抽出するサンプリングを行ったときに、対象条件に該当する人がどれだけサンプルに含まれるかの割合を指します。
出現率は、主に標本調査(サンプリング)を実施する際に用いられます。今回は例として、調査対象を「30代~50代の男性で日焼け止め利用経験のある人」と仮定し見てみましょう。
例えばWEBアンケートでは「30代~50代の男性」を対象に必要数を回収することは難しくないのですが、そこに「日焼け止めの利用経験者」の条件が加わると、どの程度のアンケートを配布すると必要数が確保できるかは明らかではありません。
しかし、「(30代~50代の男性が)100人いれば10人は(日焼け止めの利用経験者として)該当」することがわかれば、アンケートの配布数の目安は把握できます。この「100人いれば10人は該当」が、出現率です。
出現率の計算方法
出現率は、以下の計算方法で算出できます。
出現率の計算方法
出現率(%)=(特定の対象者の出現回数/抜き出した標本サイズ)×100
出現率の計算方法について、50人の母集団を例に考えてみましょう。母集団から25人を無作為に選んだとき、条件を満たす人が5人含まれていたとします。上記の求め方に当てはめると、このときの出現率は
(5÷25)×100 = 20%
となります。つまり、50人の母集団に条件を満たす人が
50人×20%=10人
いるであろう、と予測できます。
出現率をリサーチ前に把握しておくべき2つの理由
基本的なリサーチは上記の手順で実施されますが、出現率の確認はこのうち「調査を実施」の前段階で行うことが重要です。というのも、アンケートの配布数や実施期間を決める際に、出現率が参考となるからです。
本章では、出現率をリサーチ実施前に把握すべき2つの理由について解説します。
1.必要な回収数の目安を知るため
出現率はアンケート調査の設計時に重要であり、目標の回収数を決定する際に必要な要素の一つです。信頼性が高く、分析に有効な調査結果を得るためには、十分な回収数を確保する必要があります。
年齢や性別など、調査対象者の属性が基本的なものであれば、出現率も比較的高いため、大きな心配は必要ないかもしれません。しかし、ニッチなターゲットを狙ったリサーチなど、調査条件に該当する人が少ないと想定される調査を実施することもあるでしょう。
調査対象者が、母集団にどの程度いるのか事前に把握できていない場合、調査を実施しても十分な回収数を得られず、思うような成果を得られなかったり、最悪の場合は分析ができなくなったりする可能性があります。
アンケートの調査対象者がどの程度の割合でいるか把握し、必要な回収数の目安を知るためにも、調査実施前の出現率の確認は重要です。
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GMO Askでは、設定した属性で絞り込んで配信した場合に得られる、回答数の上限予測を確認できる「提供可能数検索機能」が利用可能です。絞り込める属性がさらに追加されたため、よりアンケート設計に役立てることができます。
GMO Askは、スクリーニング調査を行わない程度の基本的な属性(性別・年齢・都道府県・職種・業種・婚姻状況・子供有無など)で調査を行う場合におすすめです。さらに、十分な数の調査対象者が確保できる程の大規模なモニター(約2,500万人)を保有しているため、信頼性の高いアンケートを実施できます。
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2.追加費用の発生や工数の増加を防止するため
アンケート調査は、サンプルの得やすさによってアンケートにかかる費用や期間が変わります。そのため、事前にどのくらいの回収数が得られるかを予測しておくことが重要です。
調査設計の段階で出現率を把握しておけば、必要なサンプルを確保するためにどのくらいの規模の事前調査を実施するかの目安がわかります。「想定した回収数に届かず、追加調査が必要になった」というような事態を防げるので、追加の予算や調査期間の延長など、余計なコストや工数増加を抑えることができるでしょう。
出現率調査においての注意点
出現率の把握は、回収数の目安を知ったり、追加費用や工数増加の防止に役立ったりと、適切なリサーチに欠かせない要素の一つです。本調査前に行うべき出現率調査ですが、実施において以下2点に注意する必要があります。
1.抜き出す標本の多寡によって予測の精度が変わる
出現率は、条件を満たす人が母集団にどの程度含まれているかに左右されることを考慮しましょう。
また、母集団から抜き出す標本の数が多いほど出現率は実際の数値に近づき、標本の数が少なければ母集団を反映しない可能性が高くなります。
例えば母集団50人に対し、10人を標本として抜き出した場合と30人を標本として抜き出した場合では、後者のほうが少ない誤差となり、精度の高い結果が得られるでしょう。
とはいえ、標本を多くしようとするほど調査コストが増していき、全体の予算を圧迫します。予測の精度が変わることを念頭に、どの程度の誤差までを許容するかも見積もっておくとよいでしょう。
一般的には、許容誤差5%程度であれば、信頼できる結果が得られると言われています。
2.属性などの影響によって数値にバラつきがでることがある
出現率は、抜き出したい対象者の性別・年代・居住地域といった基本属性によって変化します。
例えばある調査では、電子マネーのうちQRコード決済を利用したことがある人は68.0%でした。しかし年代別に見ると30代は70.4%、50代は65.4%と結果に差がありました。つまりこの場合は、抽出する標本の年代によって、出現率が異なると想定されます。
他にも、市況や実施する時期などでも変化することもあります。そのため、出現率を求める際には、属性のほかにも予測の精度に影響を与える外部要因がないか、注意しておきましょう。
出現率に影響を与える主な要素
- 年齢や性別、地域、職業など、調査対象の属性
- 調査項目の内容の認知度
- 調査時期や社会情勢
- 調査方法
まとめ|出現率を把握し、正確で効率的な調査を実施しよう
出現率を求めることで、必要な回収数の目安を知ることができ、また、追加費用の発生や工数の増加を防止できます。抜き出す標本数によって予測の精度が変わったり、属性などの影響によって数値にバラつきがでることがあるためその点を考慮する必要がありますが、アンケートを実施する際は、出現率を把握し、効率的に調査を実施するとよいでしょう。
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よくある質問
Q1.出現率はなぜ重要なのでしょうか? |
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出現率とは、対象となる母集団の中から一部を標本として抽出し調査するサンプリングを行ったときに、対象とすべき条件に該当する人がサンプルに含まれる割合のことです。出現率を事前に知っておくとよい理由は主に2つあります。
詳しくは、「出現率をリサーチ前に把握しておくべき2つの理由」の章をご覧ください。 |
Q2.出現率の計算方法は? |
出現率の計算方法は以下の通りです。 出現率(%)=(特定の対象者の出現回数/抜き出した標本数)×100 詳しくは、「出現率の計算方法」の章をご覧ください。 |