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マーケティングリサーチにおける調査設計のポイントは?手順やアンケート作成のコツも解説

マーケティングリサーチにおける調査設計のポイントは?手順やアンケート作成のコツも解説

調査設計とは、マーケティングリサーチの実施にあたり「何を目的とするか」「どのような調査を行うか」など、事前計画を構築することです。調査設計段階で目的や自社の課題を明確にしておくことで、次のアクションにつながるマーケティングリサーチを実行できます。今回の記事では、マーケティングリサーチにおける調査設計のポイントや具体的な手順、アンケート作成のコツを解説します。

調査設計とは

調査設計とは、マーケティングリサーチを実施するために必要なステップのひとつです。

「既存店舗の売り上げ減少」「新商品の売り上げ不調」など、自社の課題を解決するには、マーケティングリサーチを行って問題点を把握し、適切な施策を実施することが欠かせません。

マーケティングリサーチは主に以下の流れで実施することが多いです。

マーケティングと調査の課題・目的を明確化→調査内容の企画→調査票を作成→調査を実施→データクリーニング→データの集計→データの分析

上記の流れの中で言えば、調査設計は「マーケティングと調査の課題・目的を明確化」「調査内容の企画」の2点が該当します。マーケティングリサーチによって課題点を正しく把握するためには、上記の調査設計を実施したうえで、自社の目的に合わせた適切な調査方法を設定することが必要です。

「Garbage In,Garbage Out(出力の質は入力の質次第)」と言われるように、マーケティングリサーチにおいて粗雑な調査設計を行うと、質の悪い情報が集まり役立たない調査結果がアウトプットされてしまいます。調査設計はとくに時間をかけて丁寧に実施しましょう。

調査設計で整理すべき具体的な項目は以下の通りです。

  • 自社が抱えるマーケティングの課題は何か
  • 調査の目的は何か
  • 何があれば調査の目的を達成できるのか
  • どのような方法で調査を実施する
  • どのぐらいのサンプルサイズ(回答数)を回収するのか
  • 調査準備から結果分析・レポート作成までどのようなスケジュールで行うか
  • 全体にかかるコスト(費用)はどのくらいか
  • 調査後にどのようなアクションを行うのか

調査設計の7ステップ

マーケティグリサーチを実施する際は、調査設計も含めた準備段階が重要です。準備が疎かになると、せっかく集計したデータも正しく分析できません。

そこで、以下の7ステップを意識してマーケティングリサーチを行いましょう。

  1. マーケティング課題(背景)を明確にする
  2. 調査の目的を明確にする
  3. 現状を把握し課題を設定する
  4. 仮説を設定する
  5. 調査後のアクションを想定する
  6. 調査対象・調査手法を選定する
  7. 予算とスケジュール(期限)を設定する

1.マーケティング課題(背景)を明確にする

調査設計を行う前に、マーケティングリサーチで改善すべき自社のマーケティング課題を明確にしましょう。自社が抱える課題点を把握できなければ、具体的に自社が取り組むべき施策の方向性や内容を策定できません。

企業が抱えるマーケティング課題の例としては以下が挙げられます。

  • ブランドイメージの目標設定は?
  • 顧客にとってのブランドの価値は?
  • どのようなポジショニング?
  • 市場規模は?

事前に自社の課題を明確にしておくことで、「課題解決にマーケティングリサーチが効果的か」という点を判断できます。調査結果のデータからは解決できない課題を排除するためにも、必ずチェックして準備しましょう。

マーケティング課題を明確にする段階では、「調査できる・できない」に絞り込むことも必要です。「調査できる課題」を絞ることで、具体的に自社が解決に取り組むべきテーマがわかり、どのような意思決定を実施すべきかの判断基準になります。

関連記事:市場調査・マーケティングリサーチによくある調査事例集

2.調査の目的を明確にする

「マーケティング課題を解決するためにどのようなリサーチを実施するか」という目的を明確にします。 調査目的を明確にしなければ、後述のステップで設定する「仮説設定」「調査方法の選定」にズレが生じ、本来取得したいデータを集計できない可能性があります。

企業のマーケティングリサーチの目的は、以下いずれかに該当するケースが多いです。

機会発見

新製品を企画するためのアイディアが欲しい。市場のニーズを把握したい

選択

企画案や商品のコンセプト案候補が複数あるため、調査結果をもとに絞り込みたい

手ごたえ

考えた企画案やコンセプト案に自信を持つための数値的な確証がほしい

予測

マーケティング施策を実施した場合の結果を、具体的な数値として把握したい

診断

現状のマーケティング施策の具体的な課題を見つけたい。

検証

製品やサービスの最終的な受容性を調査し、企業の意思決定を行いたい

他部署の担当者や役員など、現場担当者ではない人がマーケティングリサーチの依頼を行う場合、調査目的がクリアになっていない場合もあります。その際は「調査依頼を考えたきっかけ」について確認することで、企業の抱える本来の調査目的を把握できるでしょう。

3.現状を把握し課題を設定する

マーケティング課題と調査目的を整理したら、次に「調査目的を達成する方法」を検討します。調査目的の達成方法を検討するにあたって、まずは調査対象である「自社製品やサービスの現状」を把握しましょう。

◆把握すべき自社製品やサービスの現状

  • 業界での自社の位置づけ
  • 業界での自社(製品やサービスを含む)の具体的な強みや弱み
  • 他社の類似製品やサービスと比較したときの自社製品の市場感や需要

自社サービスの現状を把握することで、達成したい目的とのギャップが明らかになり、差を埋めるために取り組む施策を判断できます。

現状と目的のギャップを把握したら、マーケティングリサーチの実施によって解決できる課題を設定しましょう。 例えば「新製品の企画につながるアイディアやニーズを把握するための調査」という目的の場合、業界における自社の位置づけや過去の販売製品の強み・弱みの把握などが課題となります。

課題が複数ある場合には、優先順位をつけましょう。設定した課題が調査の目的と連動していることをしっかり確かめておきます。

4.仮説を設定する

設定した課題をもとに、仮説を立てます。仮説とは「〇〇がきっかけとなり??という現象が起きたのではないか」などの予想を立てることです。仮説を設定すると「誰に・何を・どのように質問するべきか」を判断しやすくなるため、効果的な調査が実施できます。

仮説を設定せずいきなりマーケティングリサーチを行うと、課題解決とは無関係の調査結果しか取得できなかったり、調査範囲を絞り込めずに設問数が多くなり、広く浅い情報しか集計できなかったりするため要注意です。

例えば、日用品の販売企業であれば、以下のような仮説を考えられます。

課題

洗濯用洗剤のリピート率が悪い

仮説

  • 香りがよくない
  • 粉末状であるため洋服にこびりつくことがある
  • 値段が高い

上記のような仮説を立てることで、アンケート調査の質問内容に盛り込む項目を適切に設定して、仮説が事実であるかを検証できます。

5.調査後のアクションを想定する

マーケティングリサーチで大切なのは、調査結果をもとにして「課題解決の施策」「最終的な意思決定」「新しい事業計画」など、次のアクションにつなげることです。調査後のアクションにつなげるためにも、調査設計の段階から「今後自社が取るべき施策」を意識することが欠かせません。

時間をかけて調査設計を組み立て調査を実施しても、具体的な課題解決や意思決定に向けたアクションにつながる情報が手に入らなければ、調査設計の意味は失われます。

調査後のアクションを設定する際は、「設定した仮説の証明に必要な情報と分析軸を手に入れる」という視点を持ちましょう。取得データを「属性・行動軸・意識軸」など、どのような視点で分析するか調査設計の段階で決めておくことで、調査目的の達成に必要な情報とのズレを防げます。

◆市場調査における分析軸の例

  • 年代
  • 性別
  • 職業
  • 自社商品やサービスを使用する頻度
  • 満足度

6.調査対象・調査手法を選定する

マーケティング課題の明確化や調査目的・仮設の設定後は、調査対象者と調査方法を選定します。

調査対象者については、ターゲット属性やサービス利用履歴などを組み合わせ「調査目的や仮説の検証を実施できる人」となるように設定しましょう。

属性

  • 性別
  • 年齢
  • 住んでいる地域
  • 職業
  • 世帯年収
  • 世帯数 など

履歴

  • 商品やサービスを認知しているか
  • 購入経験はあるか
  • 現在、使用中か
  • 累計の購入金額はどのくらいか など

必要なサンプルサイズ(回収数)については、統計的に見て許容できる誤差の範囲内で決定します。必要な回答数の求め方については以下の記事を参考にしてください。

関連記事:サンプリングとは?統計調査での活用法や種類、注意点を解説

同時に、具体的な調査手法も検討しましょう。マーケティングリサーチの調査手法としては、主に以下2つが挙げられます。

定量調査

調査結果を「数値」で集計する調査手法。 アンケート形式が多く、一度で大量のサンプルを集めることもできる。調査結果を数値で計測できるため分析しやすい。ただし、例えば製品への多くの不満についても「不満である」という1つの回答に集約されてしまうため、詳細な理由は把握しにくい

例)インターネットリサーチ・会場調査・ホームユーステスト など

定性調査

調査結果を「言葉」で集計する調査手法。ユーザーの生の声や数値に現れない絶妙なニュアンスにリーチできる。ただし、ひとつひとつの調査に時間がかかりやすいうえ、調査者による解釈も必要になるため難易度は高い

例)デプスインタビュー・グループインタビュー など

具体的な調査手法については以下の記事もご覧ください。

関連記事:定量調査と定性調査の違いと使い分けの方法とは?組み合わせた調査方法も紹介

7.予算とスケジュール(期限)を設定する

最後に調査費用を算出して、調査完了期日や課題解決の意思決定タイミングなども含めたスケジュールを設定しましょう。

マーケティングリサーチに必要な費用や期間は、調査方法によってさまざまです。実施するまでに準備日数を要する調査方法もあるため、スケジュールや予算の誤差が大きくならないよう注意しましょう。

スケジュールのズレが大きくなると、調査実施後の意思決定や事業計画の策定完了日も先延ばしになります。

調査設計を立てたら調査票の作成へ

調査設計が完了したら具体的な調査票を作成しましょう。調査票の質問を作成する際は、調査目的を分解し、調査対象者へ質問したい内容(何を・どのように)を箇条書きでリストアップしてからまとめることが重要です。箇条書きの時点では、必ずしも質問形式で書き出す必要はありません。

調査表作成時は以下の点を意識し、回答者の負担が少なくなるように配慮しましょう。

  • 誤解のない言葉で質問する
  • 平易な表現を使う
  • 回答しやすい内容(購入の有無・購入した商品名など)から順序よく質問する
  • 該当しない場合の選択肢も用意し、無回答が生まれないようにする

詳細なアンケート調査票の作成については以下の記事でも解説しています。

関連記事:はじめての市場調査:アンケート調査票の作り方は?良い例・悪い例

多くの質問内容を詰め込みすぎると、回答者の離脱率は上がってしまいます。離脱率が上がると適切な回答数を確保できません。質問の要点を絞ったうえで重要度の高い内容を早めに聞くようにし、小さい規模の調査を繰り返し行うことが大切です。

設問数を絞り込んだ小規模調査を繰り返し行う際のポイントについては、以下の記事でも解説しています。

関連記事:アジャイルリサーチとは?メリットや具体的な活用法をご紹介

GMO Askでは、上記で解説したポイントを押さえた設問テンプレートが複数用意されています。自社で0から質問を考える手間を省けるため、分析手法の決定や実施施策の策定など、より重要な部分に企業のリソースを割けるでしょう。また、設問テンプレートを活用できれば、アジャイルリサーチによる「短期間で複数回の調査」も実施しやすいです。

まとめ

マーケティングリサーチを行い、効果的な施策を策定・実行するためには、調査設計の段階から意識すべきポイントが数多くあります。調査設計を上手に組み立てなければ、自社が取り組むべき適切な方向性は把握できません。

調査設計の手間を少しでも軽減したいのであれば、GMO Askのようなアンケートの設問テンプレートも活用することがオススメです。適切な調査設計に必要な要点を押さえたテンプレートを数多く取り揃えているため、初めてアンケートを行う企業でも安心です。

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