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成果が出るアンケート調査票の作り方は?具体的な作成ステップを解説

成果が出るアンケート調査票の作り方は?具体的な作成ステップを解説

アンケート調査票の作成においては、調査目的の設定や質問の言葉遣いなどに気を配ることが重要です。また、設問内容とボリュームが適切なアンケート調査票を作成することで、自社のサービス開発・改善に役立つ結果を収集できます。今回の記事では、成果の出るアンケート調査票の作り方や、調査票の良い例・悪い例について解説します。

アンケート調査票の「精度の高さ」を判断する基準

アンケート調査で有効な結果を得るためには、精度の高い調査票の作成が重要です。精度の低いアンケート調査票を用いると、自社の目的に沿った調査結果を得られないことに加え、「知りたいことを判断できない」「間違えた結論を導いてしまう」ということにもつながるため、注意が必要です。

具体的に「精度の低いアンケート」とは、どのような点が悪いのでしょうか。下記の画像で比較してみましょう。

◆A:精度が高いアンケートの例

精度の高いアンケート例の画像

◆B:精度が低いアンケートの例

精度の低いアンケート例の画像

一見すると、A・Bともに問題なく質問できている印象を受けるかもしれません。しかし実際は、Bのアンケート調査票は以下のような問題を抱えています。

質問項目に抜け漏れがある(MECEになっていない)

  • Aでは回答者属性を質問しているが、Bにはない。回答者属性がなければ「どのターゲット層にリーチできているか」などを判断しにくい
  • Aでは「初回購入or継続購入」に応じた質問で分岐できるが、Bでは購入頻度を踏まえた分岐ができていない

設問の回答が定性的すぎる

  • Aでは、購入頻度・満足度・購入理由を細かく分類しているため、集計結果を数値管理しやすい

購入傾向をリサーチする設問が不足している

  • Aでは、回答者属性の設問も含めて「どんな人が・どのくらいの頻度で購入した結果・どれくらいの満足度になるのか」という傾向を掴みやすいが、Bでは難しい

上記からわかる通り、Bのアンケート調査票には複数の問題点があると判断できます。現状の内容でアンケートを実施すると、ターゲットではない人物にアプローチしてしまうほか、自由回答の解釈に困ったりする可能性も高いです。

せっかく手間や費用をかけてアンケートを実施したのに、調査結果を的確に分析できず、自社の施策に活かせないとなると、アンケート実施の意味がなくなってしまいます。失敗を防ぐためにも、ポイントを守って調査票を作成しましょう。

精度の高いアンケート調査票を作成する8ステップ

アンケートの精度を高め自社の施策に活かすためには、以下8ステップに沿って調査票を作成することが大切です。

  1. アンケート調査の目的と仮説を設定する
  2. 回答収集方法を決定する
  3. 質問項目を決定する
  4. 各質問項目の回答形式を決定する
  5. 質問項目の言葉遣い(ワーディング)を決定する
  6. 質問の順番を決定する
  7. 質問ボリュームを調節する
  8. 配信前にテストを実施する

1.アンケート調査の目的と仮説を設定する

アンケートの作成前に、必ず調査目的と仮説を設定しましょう。調査を実施する背景と課題を整理しておくことで、自社のアンケートで聞くべき内容や施策への活かし方が明確になります。

◆アンケート作成前に整理すべきこと

  • なぜ調査を行う必要があるのか
  • 自社が抱えている現状の課題は何か
  • 何について知りたいのか
  • アンケート結果をもとにどのようなアクションを起こしたいか

上記を踏まえずにアンケートを行うと、調査結果をどのように活かせばよいのか、判断できません。課題の整理方法としては以下が挙げられます。

  • 調べたい課題についての年表を整理する
  • ブレインストーミングを活用して、課題が発生した原因を整理する
  • 「なぜ?」を繰り返しながら樹形図を書く

整理する段階で新たな気付きを得ることもありますし、テーマ変更が必要であると判断できるケースがあるかもしれません。

情報を整理することで仮説も立てられます。仮説を立てることで、アンケートを実施する際の方向性も明らかにしやすいです。

2.調査の回答収集方法を決定する

アンケートの目的と仮説を設定したら、回答収集方法を設定しましょう。回答収集方法は、主に以下2つに分類できます。

定量調査

調査結果を数値で集計する方法。数値で計測できるため、結果の分類や傾向の分析などを実施しやすい。回答結果も大量に集めやすい
例)インターネットリサーチ・会場調査・ホームユーステスト・郵送調査 など

定性調査

調査結果を言葉で集計する方法。単純な数値より細かいニュアンスまで踏み込めるため、回答内容の微妙な違いも丁寧に調査できる
例)デプスインタビュー・パネル調査・行動観察調査 など

アンケートの対象者については、以下の軸を参考にして決定しましょう。

  • 属性情報(地域、性別、年齢、職業、未既婚、子供の有無、年収 など)
  • 行動履歴情報(サービスに対する認知の高さ、利用の可否 など)
  • 心理的情報(価値観、ライフスタイル、趣味嗜好 など)

ターゲットは具体的に設定することが必要ですが、過度に絞り込むと必要な回収数を確保しにくいため、注意しましょう。

3.質問項目を決定する

アンケートの対象者を定めたら、具体的な質問項目を決定します。以下の例を参考に、自社が立てた仮説をチェックできる質問項目を定めましょう。

◆仮説と設問例【アパレルブランドの場合】

仮説

商品リニューアルにより衣類のデザインを変更したことで、自社のメインユーザーの好みから離れてしまった

設問例

  1. あなたは自社Aと競合B、どちらのデザインが好きですか?

    • 自社A
    • 競合B
  2. (競合Bを選んだ方への質問)その理由をお答えください。

    • デザインの色味がAのブランドイメージと違う
    • デザインの色味が増えすぎた
    • キャラクターが好みではない
    • その他(     )

アンケート結果の分析や施策につながる可能性のある情報は、なるべく多く取得するようにしておきましょう。ただし、設問数が多すぎると回答者の負担が大きくなり、完了率が低下してしまうため、増やしすぎには注意が必要です。

また、質問項目を設定する際には回答者のプライバシーにも十分配慮しましょう。例えば「複数の質問を組み合わせると個人が特定できる」「事前に許諾を得ずに機微な個人情報(大学名、会社名、年収、病歴・疾患など)を質問する」ことは避けるべきです。

意外と「著作権」についても見落としがちなポイントです。アンケート内で画像や映像を使用する際は、必ず著作権許諾を得たものであるか、もしくは著作権フリーであるかを確認しましょう。

4.各質問項目の回答形式を決定する

各質問項目について、回答形式を決定しましょう。

◆回答形式の種類

  • 単一回答(シングルアンサー、SA)
  • 複数回答(マルチプルアンサー、MA)
  • 自由回答(フリーアンサー、FA)
  • 制限付き回答(リミテッドアンサー、LA)
  • SD法
  • マトリクス(SA、MA、プルダウン+FAなど)
  • 5件法(7件法)

回答形式を選ぶ際は、回答者の負担を減らし離脱率を下げることまで考慮しましょう。例えば「横長のマトリクス形式」の場合、スマホで回答する際に引き伸ばさなければなりませんし、「自由回答」は、考える手間や記入時間がかかるため面倒と感じてしまいがちです。回答者の立場を想起し、回答しやすい形式かどうかも確認しておきましょう。

5.質問項目の言葉遣い(ワーディング)を決定する

質問項目を定めたあとは、詳細な言葉遣い(ワーディング)も決めていきましょう。言葉遣いによって、「質問内容への理解度」「集計結果の正確性」が変動するため、細かくチェックしておくことが大切です。

言葉遣いを決める際は、以下の点を意識しましょう。

  • 誤解を招かない表現で質問する
  • 回答者が容易に理解できる言葉で質問する
  • 回答者バイアス(先入観や偏り)を避けた言葉で質問する
  • 未回答を防ぐ

◆誤解を招かない表現で質問する

原則 よい例 悪い例
明確に質問する あなたは商品Aのパッケージがどれくらい好きですか?以下の5段階でお答えください。 あなたはどの程度、商品Aが好きですか?
主語を含める ご家庭では商品Aをどのくらいの頻度で購入していますか? 商品Aをどのくらいの頻度で購入していますか?
質問している時間軸を明確にする 直近1ヶ月の間に商品Aを購入しましたか? 最近、商品Aを購入しましたか?
質問文で「二重の意味」に取れる言葉を使わない どのようなきっかけで商品Aを使い始めましたか? なぜ商品Aを使い始めたのですか?
*目的ときっかけ、両方の意味に取れる
1つの設問で2つの内容を含めない あなたは商品Aのコストパフォーマンスにどの程度魅力を感じますか? あなたは商品Aのデザインやコストパフォーマンスについて、どの程度魅力を感じますか?

◆回答者が簡単に理解できる言葉で質問する

原則 よい例 悪い例
簡単な表現を使う あなたはどのくらいの頻度でデパートに行きますか? あなたは普段どれだけデパートに足を運びますか?
専門用語・業界用語・略語を使用しない 化粧品について、あなたが知っているメーカーをすべてお答えください。 化粧品について、あなたの認知メーカーをすべてお答えください。
過度な敬語・謙譲語を使用しない お答えください。 お答えいただけますと幸いでございます。
なるべく質問文を短くする あなたのコワーキングスペースの利用頻度をお選びください。 あなたは普段コワーキングスペースをどれくらいの頻度で利用しますか。もっとも近いものを選んでください。
言葉の使い方や語尾を統一する (1)あなたの性別をお答えください。
(2)あなたの年齢をお答えください。
(1)あなたの性別をお答えください。
(2)あなたの年齢は?
誤字脱字をなくす あなたの性別をお答えください。 あなたのの性別をお答えください。

◆回答者バイアス(先入観や偏り)を避けた言葉で質問する

原則 よい例 悪い例
誘導的な質問にしない 商品Aに関する直近のイメージをお答えください。 顧客満足度1位に輝いた商品Aに関して、直近のイメージをお答えください。
選択肢の中身を偏らせない 大変よい
よい
普通
悪い
大変悪い
よい
普通
やや悪い
悪い
大変悪い
タイトルで質問内容を想定させない 化粧品に関するアンケート 化粧品の成分変更に関するアンケート

◆未回答を防ぐ

原則 よい例 悪い例
すべての人が回答できる質問をする 出先で喫煙する際、路上で吸うことはありますか? 出先で喫煙する際、あなたはどこで吸いますか?
頻度を尋ねる際は、そもそも「利用していない人」も回答できるようにする 毎日
週に1回
月に1回
半年に1回
年に1回
利用したことがない
毎日
週に1回
月に1回
半年に1回
年に1回
幅広い意見を拾えるよう「その他」「それ以外」などの選択肢も含める

アンケート項目を決める際は、上記のように細かい文言まで決める必要があるため、ある程度の手間や時間を要します。

GMO Askであれば、上記で解説したポイントを押さえた質問テンプレートを豊富に用意しているため、初めてアンケート調査票を作成する方にもオススメです。

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6.質問の順番を決定する

質問の文言を決めたら、順番を決定しましょう。

アンケートの質問順序によっては、回答にバイアスが生まれたり、答えにくくなったりすることがあるため要注意です。例えば、選択肢の中で複数のブランド名を提示した後に、自由回答で「好きなブランドは?」と質問すると、すでに見た選択肢の中から選ばれやすくなってしまいます。

◆回答しやすい質問順序の例

  • 一般的に知られている内容(答えやすい質問)→個人の評価や予想など(少し考える質問)→仮説やアイデアの提示など(より刺激を与える質問)
  • 過去→現在→未来
  • 抽象的な質問→具体的な質問

ただし、アンケートの回答数を確保するため、重要な質問や優先度の高い質問をあえて前半に設置することもあります。

7.質問ボリュームを調節する

質問の順番まで定めたら、アンケート全体のボリュームを調節します。

アンケートでは、あまり多くの内容を盛り込まないことが大切です。質問数が多くなりすぎると、回答者の負担が増え途中離脱率を上げてしまう可能性もあります。

とくにインターネット調査では、紙面の制限がないため質問数が多くなりがちです。回答者の負荷を押さえて良質な結果を得るには、「質問数は20問以下」「回答時間は5~10分程度」に抑えましょう。回答所要時間はアンケートの冒頭に明記しておくとよいです。

8.配信前にテストを実施する

アンケートが完成したら、一度全体のステップを見直し、必要に応じて修正しましょう。

問題がなければ、配信前にテストを実施し、回答者になった気持ちで回答してみます。自分だけでなく、同僚や限られた会員など、少人数に対してアンケートを試すことが望ましいです。

配信する前に、番号・回答方法・入力用の指示(カラム)・飛び先指示(回答内容による分岐)など、調査に必要な要素が含まれているかも最終確認を行いましょう。

調査票の作成はリサーチ会社のノウハウを活用することも有効的

自社の施策に役立つ効果的な結果を収集するためにも、細かい文言や順番にもこだわって調査票を作成することが大切です。漠然とした内容の調査票を使うと、自社の求める情報を得られずに、手間や時間を失うことにもなりかねません。

手間をかけずにポイントを押さえたアンケート調査票を作成するのであれば、リサーチ会社のノウハウを活用することも検討しましょう。

GMO Askであれば、リサーチ会社としてのノウハウを活用してまとめたアンケートテンプレートを提供しているため、自社で考える手間を省くことができます。

もちろんテンプレートといっても、決まった型を使い回すわけではありません。完全DIY型であるため、自社の目的に沿った調査票へとカスタマイズして作成できます。

調査を実施する際は、いくつかルールに気をつけましょう。例えば「公序良俗に反する調査は実施できない」「個人に関わる情報はアンケートでは取得できない」といった点には注意が必要です。

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