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相関関係と因果関係の違いは?事例や区別方法をわかりやすく解説

相関関係と因果関係の違いは?事例や区別方法をわかりやすく解説

相関関係とは、2つの要素がお互いに関係し合っている状態のことです。片方の要素が変化すると、もう一方の要素も変化します。

一方で因果関係とは、2つ以上の要素同士の間に「原因と結果の関係がある状態」のことです。関係性を示す矢印が「事象Aが原因となり→事象Bが結果として起こる」という一方通行になります。

ビジネスにおいて両者の違いを見誤ると、事象が起きた原因を正しく把握できず、見当違いの施策を打ち出す原因にもなりかねません。適切な施策を設計するためにも、違いや判別方法を把握し、要素同士の関連性を正しく読み取ることが大切です。

本記事では、相関関係と因果関係の違いや見分ける重要性、判別方法などについて解説します。

相関関係と因果関係

相関関係と因果関係には、それぞれ以下の意味があります。

  • 相関関係:2つの要素がお互い密接に関係し合っている状態
  • 因果関係:2つ以上の要素同士の間に原因と結果の関係がある状態

相関関係とは

相関関係とは、「要素A↔要素B」というように2つの要素がお互い密接に関係し合っている状態を指します。片方の要素が変化すると、もう片方の要素も変化します。

相関関係のイメージ画像

例えば、「テレビの視聴時間(要素A)」と「肥満(要素B)」の関係性を相関で見たとします。データとして「テレビの視聴時間が長い人に肥満が多い」という結果が出ていれば、本当の原因が何かは問わず、「相関関係がある」と言うことができます。

相関関係の強さは、以下のような観点で判断できます。

  • 関係性が直線的に表されている:相関関係が強い
  • 関係性にばらつきが大きい:相関関係が弱い
  • 一方が変化しても片方に変化がない:相関関係なし(無相関)

相関関係の有無のイメージ画像(引用:総務省統計局 なるほど統計学園|複数の変数の関係性を見る)参考:総務省統計局 なるほど統計学園「複数の変数の関係性を見る

因果関係とは

因果関係とは、2つ以上の要素同士の間に「原因と結果の関係がある状態」を指します。相関関係では、2つの要素がお互いに関係し合っていました。因果関係では、関係性を示す矢印が「要素Aが原因となり→要素Bが結果として起こる」という一方通行の形になります。

因果関係のイメージ画像

例えば、「平均気温(要素A)」と「エアコンの売上(要素B)」の関係性を相関で見たとします。

平均気温が上がって(要素A)暑くなれば、エアコンの売上も上がる(要素B)と予想できます。一方で、エアコンの売上が上がっても(要素B)平均気温が上がる(要素A)わけではありません。このように因果関係は、相関関係と異なり逆の方向では成立しない点が特徴です。

関係性が一方通行の因果関係が成立するためには、相関関係より厳格な条件をクリアする必要があります。

▼因果関係の成立に必要な3つの条件

必ず要素A(原因)の発生後に要素B(結果)が起きる

要素B(結果)が発生してから要素A(原因)が起きることはあり得ません。

「要素Aと要素Bにそれぞれ2つ以上の側面がある」かつ「要素Aと要素Bに関係性がある」

平均気温と扇風機の売上には両方とも「上がる or 下がる」という2つの側面があります。また「平均気温が上がる→エアコンの売上が上がる」という関連性も持っています。

要素Aと要素Bの両方を引き起こす「別の要素C」が存在していない

要素Aと要素Bの両方を引き起こす要素Cがある場合、AとBには因果関係がないにも関わらず、Cによって「因果関係があるように見える」ということが起こり得ます。

相関関係と因果関係をビジネスで見分ける必要性

相関関係と因果関係は定義が異なるため、ビジネスで使う場合は両者を適切に見分けることで、意思決定の精度を高めることができます。

新規キャンペーンや社内向け施策、新商品開発の施策などの各種施策を打ち出す際は、アンケート結果や自社の顧客情報などを分析し、戦略や方向性の仮説を立てることが必要です。こうした仮説の精度を高めるには、データ同士が「相関関係にあるか・因果関係にあるか」を正しく判断しなければなりません。

2つの要素に「因果関係がある」とわかれば、原因に対して適切なアプローチ施策を実施できます。しかし「相関関係しかない」という場合、どちらか一方にアプローチしても、もう片方への影響は限定的です。こうしたデータの関係性を誤って解釈してしまうと、見当違いの施策を行ってしまい、期待する効果は得られません。

相関関係と因果関係を見分ける必要性のイメージ画像

例えば「リスティング広告を出稿したら自社製品の売上が伸びた」という事象が発生したと仮定します。一見すると「広告を出稿する(要素A)→売上が伸びる(要素B)」という因果関係が成立しているように見えるかもしれません。

しかし「インフルエンサーがSNS上で自社製品を取り上げる(要素A)→売上が伸びる(要素B)」というケースもあります。この場合、広告出稿だけが売上アップの要因となっている訳ではないため、安易に広告費用を増やすのは危険な場合もあります。

このように「現在の事象が引き起こされた本当の原因は何か」を正しく見極めることで、適切な施策の設計につなげられます。

相関関係と因果関係の判別方法

相関関係と因果関係には、以下のような関係性があります。

因果関係と相関関係のイメージ画像

本当の原因に関わらず「要素Aが変動した際に要素Bも変動する」という事象が発生していれば、相関関係があるといえます。この相関関係にある要素同士が「実は因果関係にあった」ということもあり得ます。

一方で因果関係は成立に必要な条件があるため、「因果関係にあるから相関関係にある」とはいえません。

具体的に両者を判別する際は、以下の方法を用いることが一般的です。

相関関係の判定

相関関係であるかを判定する際は、相関分析を実施します。

相関分析とは、2つの要素が「どの程度同じような動きをするか」を明確にして、要素間の関係性を理解する手法です。相関係数によって、2つの要素間における関連性の強さを-1〜+1の間の値で表します。

相関係数の正負のイメージ画像

片方の要素が変化した際にもう一方も同様に変化すれば「正の相関」、片方の要素が変化した際にもう一方が反対に変化すれば「負の相関」にあるといえます。

相関分析の具体的な流れや実施時の注意点などについては「相関分析とは?相関分析の基礎を解説、実際の分析方法も紹介!」で解説しています。

因果関係の判定

因果関係は、データ分析だけで判定することは難しい傾向にあります。

相関分析などのデータ分析から判定できるのは、双方向の関係性のみです。相関分析で求めた相関関係の要素を見比べることで、因果関係の推察はできます。しかし、あくまでも推察であり因果関係の断定はできません。推察の結果が外れる可能性もあります。

論理的な推察が難しい場合は、RCT(ランダム化比較試験)や傾向スコア分析などの方法を行うこともあります。

RCT(ランダム化比較試験)

分析対象をランダムにA群とB群に割り振り、各群でどれだけの成果が出たかを比較する手法

傾向スコア

要素同士の関連性を推察するにあたって、各要素に含まれるバイアスを取り除き、より正確な推察を導き出す手法

ただし実際は、専門的な分析を実施しなくても、要素間の因果関係が論理的に成立していれば「因果関係がある」と判定する場合が一般的です。

データ分析時のポイント

相関関係と因果関係を正しく読み取るには、以下のポイントを意識して分析することが大切です。

疑似相関の存在に注意する

相関関係や因果関係を導く際は、疑似相関に惑わされないことが必要です。

疑似相関とは、本来は2つの要素に因果関係がないにも関わらず、別の要素が影響して「因果関係がある」と感じてしまうことを指します。確かに2つの要素に関連性はあるのですが、別の要因が影響し成立している場合は、単純に「相関関係がある」とは言い切れません。

疑似相関の有名な例として「アイスクリームの売上と水難事故の数」が挙げられます。本来、両者を関連づけて分析することは違和感があるかもしれません。しかし、以下2つの現象が発生した結果、見かけ上は「アイスが売れると水難事故が増える」という因果関係が成立しているように見えます。

  • 気温が高いとアイスが売れる
  • 気温が高いと海水浴をする人数が増えて水難事故も増える

このように、相関関係にある2つの要素以外に別の要素が存在しているかは確認が必要です。

周辺データやデータ元の背景についても確認する

推察した因果関係が正しいかを確認するには、データの背景まで考察が必要です。「調査結果の相関関係が生まれた背景」を調査せず、単純に相関関係から因果関係を決定してしまうと、因果関係を誤って判定する原因になります。

例えば「森林面積割合が多いほど、人口100万人あたりの美術館数が多い」というデータがあるとします。確かに森林面積割合と美術館数に相関関係はありますが、「森林面積割合が多い→だから人口100万人あたりの美術館数が多い」という因果関係が成立しているとは限りません。交通の利便性や地価など、他の要素で美術館数が決まっていることも考えられます。こうしたデータの背景を読み取り、本当に因果関係として呼べるかを確認することが大切です。

主観が入り込まないようにする

因果関係を求める際は、分析者の主観が入り込む可能性が高いため注意が必要です。

相関関係の場合、2つの要素が密接に関わっているとわかれば、実際の原因は問わず「関係性がある」と考えられます。

一方で因果関係の場合、相関関係の要素を見比べて論理的に推察することが一般的です。あくまで推察であるため、分析者の主観が入る可能性は十分に考えられます。「グループ内で相関があるなら全体としても成り立つだろう」という直感的な推測が、結果として真逆の結論を導くこともあります。

データを分析する際は、用いられている指標や欠けている視点の有無をチェックして、客観的に判断できる環境を整えることが重要です。

まとめ|関係の違いを理解して正確にデータを分析する

相関関係とは、2つの要素が関係し合っている状態のことです。片方が変化するともう一方も変化します。

一方で因果関係とは、2つ以上の要素同士に原因と結果の関係があることを指します。関係性は「要素Aが原因となり→要素Bが結果として起こる」という一方通行の形です。

上記のように、相関関係と因果関係は考え方が異なります。「相関関係がある=因果関係がある」というわけではありません。データ同士の関連性を見誤ると、自社の施策の方向性を間違える可能性があるため要注意です。

データの分析時は、疑似相関ではないかをチェックしたり収集データの背景を考察したりなど、両者を誤読しないよう意識することが大切です。

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よくある質問

相関関係と因果関係の違いはなんですか?

相関関係とは、2つの要素が「要素A↔要素B」というようにお互い関係し合っている状態です。片方が変化するともう一方も変化します。

一方で因果関係とは、2つ以上の要素同士に「原因と結果の関係がある状態」のことです。関係性を示す矢印は「原因(要素A)→結果(要素B)」という一方通行の形になります。

より具体的な内容は「相関関係と因果関係」の章で解説しています。

相関関係と因果関係を混同するとどうなりますか?

相関関係と因果関係が混同すると、課題に対する原因を見誤り、見当違いの施策を実施することにつながります。意思決定の精度を高めるには、データ同士の関係性を正しく判断することが必要です。

より具体的な内容は「因果関係と相関関係をビジネスで見分ける必要性」の章で解説しています。

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